kintoneでは足りなくなったら——カスタム社内ツールという選択肢
kintoneを使っているが限界を感じている中小企業向けに、カスタム開発に移行する判断基準と費用感を解説する。
kintoneを導入した。最初は便利だった。
ドラッグ&ドロップでアプリを作り、顧客管理も案件管理もkintoneに集約した。スプレッドシートよりはるかに整理されて、チームの情報共有も改善した。
でも1〜2年使っていると、こんな壁にぶつかる。
- レコード数が増えて、一覧の表示が遅い
- 複雑な集計やレポートが作れない
- UIが固定で、自社の業務フローに合わない部分がある
- プラグインを入れすぎて、動作が不安定になった
- ユーザー数が増えて、月額費用が膨らんできた
kintoneが悪いわけではない。kintoneが得意な領域を超えた、ということだ。
kintoneの得意・不得意
| 得意 | 不得意 |
|---|---|
| シンプルなデータ管理 | 大量データの高速処理 |
| ワークフロー・承認 | 複雑なビジネスロジック |
| チーム間の情報共有 | カスタムUI・カスタムUX |
| プラグインで機能拡張 | 外部システムとの高度な連携 |
| ノーコードでアプリ作成 | 細かいパフォーマンス調整 |
kintoneは「80点の業務アプリを素早く作る」ツールだ。80点で十分なら、kintoneのまま使い続けるのが正解。
問題は、90点や100点が必要になったときだ。
移行を検討すべきサイン
以下のうち3つ以上に当てはまるなら、カスタム開発を検討する価値がある。
- 一覧画面の表示に3秒以上かかる
- プラグインを5つ以上入れている
- 「この機能がほしい」がkintoneの標準機能やプラグインで実現できない
- レコード数が10万件を超えている
- ユーザー数 × 月額費用が、年間50万円を超えている
- 他のシステム(会計ソフト、EC、CRM等)との連携が必要だが、APIの制約で難しい
- 新入社員がkintoneの操作を覚えるのに時間がかかる(UIが直感的でない)
選択肢は3つ
1. kintoneのカスタマイズを深める
kintone自体をJavaScriptでカスタマイズする方法。kintoneのAPIを使って、標準では実現できない機能を追加する。
費用: 10〜50万円 向いている場合: 基本的な構造はkintoneのままでいい。一部の機能だけ改善したい。
注意点: kintone本体のアップデートでカスタマイズが壊れることがある。保守が必要。
2. kintoneと併用するカスタムツールを作る
kintoneのデータはそのまま使い、不足している部分だけをカスタム開発する。
例:
- kintoneのデータを使った、カスタムのダッシュボード・レポート画面
- 外部システムとkintoneを連携するAPIサーバー
- お客さん向けのフロントエンド(kintoneは社内用のまま)
費用: 30〜100万円 向いている場合: kintoneのデータは活かしたい。全部捨てるのはもったいない。
3. kintoneから完全に移行する
kintoneのデータを新しいシステムに移し、kintoneの契約を終了する。
費用: 80〜300万円 向いている場合: kintoneの月額費用が高い。kintoneの制約がボトルネックになっている。業務全体を最適化したい。
注意点: データ移行が最大のリスク。kintoneのデータ構造と新システムのデータ構造が違うため、変換作業が必要。
費用の比較
5年間のトータルコストで比較する。
| 選択肢 | 初期費用 | 月額費用 | 5年間合計 |
|---|---|---|---|
| kintone継続(30ユーザー) | 0円 | 約5万円 | 約300万円 |
| kintoneカスタマイズ | 30万円 | 約5万円 | 約330万円 |
| kintone + カスタムツール | 80万円 | 約3万円(サーバー等) | 約260万円 |
| 完全移行 | 150万円 | 約2万円(サーバー等) | 約270万円 |
※ユーザー数や利用状況で大きく変わるため、あくまで目安。
ポイントは、月額費用の差だ。kintoneの月額は使い続ける限り発生する。カスタム開発は初期費用が高いが、月額費用は安い。ユーザー数が多いほど、カスタム開発のほうが長期的に安くなる。
移行の進め方
ステップ1: 現状の棚卸し
kintoneで作っているアプリを一覧化する。
| アプリ名 | 用途 | レコード数 | 利用頻度 | 不満点 |
|---|---|---|---|---|
| 顧客管理 | 顧客情報の一元管理 | 5,000件 | 毎日 | 検索が遅い |
| 案件管理 | 進捗管理 | 2,000件 | 毎日 | ステータス変更時の自動処理がほしい |
| ... | ... | ... | ... | ... |
この一覧があると、開発会社への相談がスムーズに進む。
ステップ2: 優先順位を決める
全部を一度に移行する必要はない。不満が大きいアプリから順に対応する。
ステップ3: データ移行を計画する
kintoneからのデータエクスポート方法を確認する。
- CSV一括エクスポート(標準機能)
- REST APIでデータ取得(大量データの場合)
- 添付ファイルは別途ダウンロードが必要
→ 関連記事:スプレッドシートの限界を感じたら——社内ツールを「作る」という選択肢 → 関連記事:開発会社の選び方——失敗しないための7つのチェックリスト
kintoneの限界は、ビジネスが成長している証拠だ。80点のツールで回していた業務が、90点を必要としている。現状を整理して、自社に合った選択肢を選べばいい。
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