WordPress制作会社が廃業した場合のサイト救出と移行方法
WordPressでサイトを作った制作会社が廃業した。wp-adminへのアクセス確認、FTPでのファイル取得、データベースのエクスポート、新サーバーへの移行手順を具体的に解説する。
WordPressで作られたサイトの制作会社が廃業した。サイトはまだ動いている。でも、いつ消えるかわからない。
この記事は、WordPress限定の救出マニュアルだ。WordPressは日本の中小企業サイトで最も使われているCMSなので、このケースに当たる方は多いはず。やることを順番に書く。
まず確認:wp-adminにログインできるか
ブラウザで https://自社ドメイン/wp-admin/ にアクセスする。
ログイン画面が表示された場合: ユーザー名とパスワードを入力してログインを試す。ログインできたら状況はかなり良い。管理画面からデータのエクスポートやバックアップができる。
ログイン情報がわからない場合: 過去のメールで「WordPress」「ログイン」「管理画面」などで検索してみる。制作時の納品メールに書いてあることが多い。
ログイン画面が表示されない場合:
/wp-login.phpを試す(URLが変更されている場合がある)- セキュリティプラグインでログインURLが変更されている可能性がある(例:
/login/、/admin/など) - サーバー自体が停止している場合は、wp-adminにはアクセスできない
ログインできる場合の救出手順
1. 管理画面からエクスポート
WordPressの管理画面 →「ツール」→「エクスポート」で、投稿・固定ページ・メディアなどをXML形式でエクスポートできる。これは最低限のバックアップだ。画像は含まれないが、テキストデータは全て入る。
2. プラグインで完全バックアップ
より確実なのはバックアッププラグインを使う方法。
All-in-One WP Migration(無料、制限あり): 管理画面 →「プラグイン」→「新規追加」→「All-in-One WP Migration」で検索してインストール。有効化後、「エクスポート」からサイト全体をファイルとしてダウンロードできる。無料版はインポート時に512MB制限があるが、エクスポートは無制限。
UpdraftPlus(無料): 同じく管理画面からインストール。バックアップ先にGoogle DriveやDropboxを指定できる。ファイルとデータベースを分けてバックアップ可能。
どちらかのプラグインで、今すぐバックアップを取ること。制作会社のサーバー契約が切れたら、管理画面にもアクセスできなくなる。
ログインできない場合の救出手順
FTPでファイルを取得する
FTP接続情報(ホスト名、ユーザー名、パスワード)があれば、サーバーにあるWordPressの全ファイルをダウンロードできる。
手順:
- FileZillaをダウンロードしてインストール(無料)
- FTP情報を入力して接続
public_html(またはhttpdocs、www)フォルダを丸ごとダウンロード
特に重要なフォルダ:
/wp-content/themes/→ テーマファイル。サイトのデザインが入っている/wp-content/uploads/→ アップロードした画像やPDF/wp-content/plugins/→ プラグインwp-config.php→ データベースの接続情報
ファイルだけでは足りない。WordPressはデータベースに記事の本文や設定を保存している。ファイル+データベースの両方が揃って初めて復元できる。
phpMyAdminでデータベースをエクスポートする
サーバーの管理画面(エックスサーバーなら「サーバーパネル」)にログインできれば、phpMyAdminにアクセスできる。
手順:
- サーバー管理画面 → phpMyAdmin を開く
- 左側のメニューからWordPressのデータベースを選択(名前はwp-config.phpの
DB_NAMEに書いてある) - 上部メニューの「エクスポート」をクリック
- 「簡易」モードのままで「実行」
.sqlファイルがダウンロードされる
このSQLファイルが、サイトの全コンテンツ(記事、固定ページ、メニュー、ウィジェット、設定など)だ。
サーバー管理画面にもアクセスできない場合
正直、かなり厳しい。できることは限られる。
- Wayback Machine でサイトの過去のスナップショットからテキストと画像を回収
- HTTrack でサイトを丸ごとHTMLとしてダウンロード(静的コピーなので、WordPressの機能は復元できない)
- サーバー会社に直接問い合わせて、アカウント情報の復旧を依頼する(名義が自社なら対応してもらえる可能性あり)
→ 関連記事:サーバー情報がわからないときの調べ方
新サーバーへの移行手順
バックアップが取れたら、新しいサーバーに移行する。
プラグインでバックアップした場合
All-in-One WP Migrationを使った場合は、新サーバーにWordPressを新規インストールして、同じプラグインでインポートするだけ。手順としては一番簡単だ。
- 新サーバーを契約(エックスサーバーなら月額1,100円〜)
- 新サーバーにWordPressをインストール(ほとんどのレンタルサーバーに「簡単インストール」機能がある)
- All-in-One WP Migrationをインストール
- バックアップファイルをインポート
- ドメインのDNSを新サーバーに向ける
FTP+データベースで手動バックアップした場合
- 新サーバーにWordPressを新規インストール
- FTPで取得したファイルのうち、
/wp-content/フォルダを新サーバーの同じ場所にアップロード - 新サーバーのphpMyAdminで、旧サーバーからエクスポートした
.sqlファイルをインポート wp-config.phpのデータベース情報を新サーバーのものに書き換える- ドメインのDNSを新サーバーに向ける
手動移行は慣れていないと失敗しやすい。特にデータベースのインポートと wp-config.php の書き換えでミスが起きる。不安なら、この段階で制作会社に依頼するのが確実だ。費用は5〜15万円程度。
プラグインの互換性に注意
移行後にサイトが正しく動かないケースがある。よくある原因はプラグインの互換性。
注意すべきポイント:
- 有料プラグインのライセンス → 制作会社のライセンスで動いていた有料プラグインは、移行後に無効になることがある。ライセンスの再購入が必要
- サーバー環境の違い → PHPのバージョンが違うとプラグインが動かないことがある。新サーバーのPHPバージョンを旧サーバーと合わせる
- 独自開発のプラグイン → 制作会社が独自に開発したプラグインは、アップデートやサポートが受けられなくなる。代替プラグインへの移行を検討する
- セキュリティプラグインの設定 → Wordfence等のセキュリティプラグインが、サーバー変更をブロックすることがある。移行前に一時的に無効化する
移行後は、全ページを目視で確認すること。特にお問い合わせフォーム、画像の表示、スライダーやギャラリーなどの動的要素。壊れていても、見ないと気づけない。
制作会社の独自テーマについて
制作会社がオリジナルで開発したWordPressテーマを使っている場合、テーマ自体のアップデートやバグ修正はもう受けられない。
短期的にはそのまま使えるが、長期的にはリスクがある。
- WordPressのバージョンが上がったときに、テーマが対応しない可能性
- セキュリティの脆弱性が見つかっても修正されない
- PHPのバージョンアップで動かなくなる可能性
対策としては2つ。
- 既存のテーマに載せ替える → Lightning、SWELL、Snow Monkey等の国産有料テーマ(1〜2万円)に変更。デザインは変わるが、長期的に安全
- サイトを作り直す → これを機にデザインも刷新する。費用は30〜100万円
どちらを選ぶかは予算と状況次第。ただし、何もせずに放置するのが一番危ない。
→ 関連記事:ホームページ制作会社が廃業したときの対処法
この記事を書いているFloat Engineeringは、中小企業向けのWordPressサイト引き継ぎ・移行を手がけています。 WordPressの救出作業は何件も対応してきました。「管理画面に入れない」「データがあるかわからない」——そこからでも対応できます。