ホームページ制作会社の乗り換え完全ガイド——手順・費用・失敗しないポイント
ホームページ制作会社を乗り換えたい。手順、必要な情報、費用の目安、新しい制作会社の選び方まで、失敗しないための判断基準を具体的にまとめる。
「今の制作会社を変えたいんだけど、何から始めればいいかわからない。」
制作会社の乗り換えを考えるきっかけは色々ある。対応が遅い、担当者が変わった、費用が高い、会社が廃業した。どんな理由であれ、乗り換えの手順は同じだ。この記事では、制作会社を変えるときの流れ、必要な情報、費用、そして失敗しないためのポイントを整理する。
乗り換えを決断するタイミング
「不満がある=すぐ乗り換え」とは限らない。以下のどれかに当てはまるなら、動いたほうがいい。
- 連絡が1週間以上返ってこないことが常態化している
- 簡単な修正に毎回数万円かかる
- サイトの表示が遅い・不具合があるのに対応されない
- ドメインやサーバーの情報を教えてもらえない
- 担当者がころころ変わる
- 契約書がない、または内容が不明確
- 制作会社が廃業した
逆に「デザインが気に入らない」「もっと安いところがある」程度の理由なら、今の制作会社に改善を依頼するほうがコスパが良いことも多い。乗り換えにはそれなりの手間と費用がかかる。
乗り換えに必要な情報リスト
乗り換えをスムーズに進めるために、以下の情報を集める。全部揃わなくても大丈夫だが、多いほど話が速い。
必須レベル:
- ドメイン管理画面のログイン情報(お名前.com等)
- レンタルサーバーのログイン情報(エックスサーバー等)
- ドメインとサーバーの名義(自社か制作会社か)
- 現在の契約期間と更新日
あると助かる:
- FTP接続情報
- WordPressの管理画面ログイン情報
- 制作会社との契約書
- サイトのバックアップデータ
情報がわからない場合: WHOIS検索やaguse.jpで外側から調べられる。詳しい手順は別記事にまとめた。
→ 関連記事:サーバー情報がわからないときの調べ方
乗り換えの手順
ステップ1:現状を把握する(1〜3日)
まず、ドメインとサーバーが誰の名義かを確認する。これで対応が大きく変わる。
| パターン | 対応 |
|---|---|
| ドメイン・サーバーとも自社名義 | 最も簡単。ログイン情報を新会社に共有するだけ |
| ドメインは自社、サーバーは制作会社名義 | サーバーを移行する必要あり |
| ドメイン・サーバーとも制作会社名義 | 名義変更または全て移行する必要あり |
ステップ2:今の制作会社に連絡する(1〜2週間)
廃業でなければ、今の制作会社に乗り換えの意思を伝える。気まずいかもしれないが、ビジネスの話だ。
伝えること:
- 契約を終了したい旨
- ドメイン・サーバーの名義変更(制作会社名義の場合)
- サイトデータの引き渡し
- 解約の条件(違約金があるか、解約予告期間があるか)
契約書に「解約の3ヶ月前に通知」等の条件がある場合は、それに従う必要がある。契約書がない場合は、民法上は合理的な期間をもって解約できる。
制作会社が協力的でない場合は、自力でデータをバックアップし、ドメインの名義変更を進める。それでも動かない場合は弁護士に相談する段階だ。
ステップ3:新しい制作会社を選ぶ(1〜2週間)
後述する「選び方のポイント」を参考に、2〜3社に相談する。
ステップ4:ドメイン移管・サーバー移行(1〜4週間)
ドメインの移管には、AuthCode(認証コード)の取得が必要だ。現在のレジストラから取得し、新しいレジストラに提出する。移管完了まで5〜7日かかる。
サーバー移行は、旧サーバーからデータをダウンロードし、新サーバーにアップロードする。WordPressの場合はデータベースの移行も必要。
DNS(ドメインの向き先)を切り替える際、一時的にサイトが見れなくなるリスクがある。TTL(キャッシュの有効期限)を事前に短く設定しておくことで、ダウンタイムを最小限にできる。
→ 関連記事:ドメイン移管とサーバー移転の違いとは?
ステップ5:動作確認と保守体制の構築(1〜2週間)
移行後にやること:
- 全ページの表示確認
- お問い合わせフォームのテスト送信
- メールの送受信テスト
- SSL証明書の確認(https://で表示されるか)
- 旧URLからのリダイレクト確認
問題がなければ、新しい制作会社と保守管理契約を結ぶ。
→ 関連記事:ホームページ保守管理契約で失敗しないための5つのチェックポイント
費用の目安
| 作業内容 | 費用目安 | 期間 |
|---|---|---|
| ドメイン移管のみ | 0〜5,000円 | 1〜2週間 |
| サーバー移行(静的サイト) | 3〜5万円 | 1〜2週間 |
| サーバー移行(WordPress) | 5〜15万円 | 2〜4週間 |
| ドメイン移管+サーバー移行+保守構築 | 10〜20万円 | 2〜4週間 |
| サイト作り直し | 30〜100万円以上 | 1〜3ヶ月 |
「制作会社を変えたら、サイトを作り直さないといけない」と思っている方が多いが、これは誤解だ。データがあれば、サーバーを移すだけでそのまま動くことが多い。作り直しが必要になるのは、データが取得できない場合や、サイト自体を刷新したい場合だけだ。
ただし、制作会社が独自のCMSやテンプレートシステムを使っていた場合は話が別。そのシステムのライセンスが切れると動かなくなるので、作り直しになることがある。WordPressやHTMLで作られたサイトなら、基本的にはそのまま移行できる。
新しい制作会社の選び方
同じ失敗を繰り返さないために、以下を確認する。
1. ドメイン・サーバーを自社名義にしてくれるか これが一番大事。「うちで管理したほうが安心ですよ」と言って名義を渡したがらない会社は避ける。
2. ログイン情報を全て開示してくれるか サーバー、ドメイン、WordPress、FTP——全ての情報を共有してくれるかどうか。「技術的なことなのでこちらで管理します」は危険信号だ。
3. 担当者と直接話せるか 営業だけが出てきて、実際に手を動かす人と話せない会社は伝達ロスが起きる。「代表が直接やります」くらいの規模感が、中小企業にはちょうどいい。
4. 保守契約の内容が明確か 月額いくらで、何をやってくれるのか。どこまでが保守の範囲で、何が追加料金か。契約前に書面で確認する。
5. 解約条件が明確か 「解約時にデータを引き渡す」「違約金は発生しない」——これが契約書に書いてあるか。入口だけでなく出口も確認する。
→ 関連記事:ホームページ制作会社が廃業したときの対処法
よくある心配と回答
「乗り換えたら検索順位が落ちるのでは?」
ドメインを変えなければ、基本的に落ちない。サーバーが変わっても、URLが同じならGoogleの評価は引き継がれる。ただし、移行時にページが一時的に表示されなくなると影響が出る可能性がある。DNS切り替えは計画的に行うこと。
「今の制作会社とトラブルにならないか?」
契約に基づいて正当に解約する限り、法的な問題はない。感情的にこじれることはあるが、ビジネスの判断だ。契約書がない場合でも、合理的な期間(通常1ヶ月程度)をもって申し入れれば問題ない。
「データを渡してもらえないかもしれない」
契約書に「データの所有権は発注者に帰属する」と書いてあれば、引き渡しを求める法的根拠がある。書いていない場合でも、発注して費用を払ったサイトのデータは発注者のものと解釈されるのが一般的だ。
この記事を書いているFloat Engineeringは、中小企業向けのWeb制作・サイト引き継ぎを手がけています。 制作会社の乗り換え相談は何件も受けてきました。状況を聞いて、何をすべきか、いくらかかるか、率直にお伝えします。